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月の運行に関するエトセトラ

月の周期と移動

月は、満ち欠けをしながら約29.5日の周期で地球の回りを公転していますが、この位相を変えて1回転する月の周期を、1朔望月(さくぼうげつ)といいます。

月は、地球が西から東に自転していることで、地球から観て、太陽と同じように東から昇って西に沈んでいきますが、その際、毎日少しずつ西から東に移動し、毎日昇る時間が遅くなっていきます。
これは、地球が太陽の周りを365日で公転している間に、月が地球の周りを平均約29.5日(正確には平均29.530589日)の周期で公転しているからです。
簡易的な計算をすると、月の公転は360度/29.5日=11.8ですから、1日で約12度月は西から東にずれて進むので、地球はその分多く自転しなければならず、月が昇る時間がその12度分だけ遅くなることによります。
地球の自転は24時間で360度ですから、12度は、24時間×12/360度=0.8時間=約50分となり、毎日月の出が約50分遅れるということです。

月の観察

毎日約50分遅れて東に12度移動していく月は、15日後には、ちょうど時間にして12時間遅れ、180度ずれることになります。
たとえば、毎日同じ午前0時に月の位置と満ち欠けの様子を観察して、その様子を15日間スケッチして、1枚の絵にまとめると、下図の様になります。
観察初日に西の空に観えた上弦の月は、8日後には南の空に観える満月に変わり、15日後には180度反対の東の空に下弦の月となって観えるのです。

満ち欠けの変化

では、月の満ち欠けはどうでしょうか。月が満ち欠けをするのは、1周期(朔望月)の間に、太陽に照らされた面だけが反射して輝いているからです。
月が太陽と丁度同じ方向にあれば、照らされた面は一切見えません。この時点を朔といい、ここから新しい月がスターとするので、新月とも呼ばれます。そこから、月が地球の回りを公転して角度を変えると、まず月の右端から太陽の光が当たり始め、左側が大きく欠けている三日月になり、その後、上弦の半月、そして満月(望)、月の右側が欠ける下弦を経て、一周して新月に戻ります。
ちなみに、三日月は新月から数えて三日目の月、満月を十五夜というのも新月から数えて十五日目の月というのが、その語源です。
月の公転軌道面は地球の公転軌道面である黄道面に対してわずか5.1度程度傾いているのですが、他の太陽系の惑星同様、ほぼ同じ黄道面の上を運動していると考えて問題ありません。
この黄道面に沿って運行している黄道面内の角度を黄経の差といい、新月(朔)が黄経の差0度、上弦が90度、満月(望)が180度、下弦が270度という言い方をします。

実際の満ち欠けの周期

国立天文台 暦Wikiより
国立天文台 暦Wikiより

平均すると約29.5日周期で満ち欠けしている月ですが、実際には29.3~29.8日の間で複雑に変化しています。
月の満ち欠け周期を基準にした太陰暦で、大の月30日と小の月29日があるのはこのためです。
ちなみに、太陰暦は、年間でみると、354.36日(=29.53日×12)で、1年365日に対して、10.64日少ないので、閏日やほぼ3年に1回の閏月で調整する必要がありました。

月齢とは?

月齢とは、新月(朔) からの経過時間を日単位で表したもので、朔の瞬間に0.0となり、1日経つごとに1ずつ増加します。月齢が7前後であれば上弦、15前後であれば満月、22前後であれば下弦、30に近い数字であれば次の新月が近いということです。月齢の値に小数がつく場合があるのは、通常は、「正午月齢」といって、その日の正午の月齢で代表させているのですが、新月の瞬間から数えて、正午における月齢を計算しようとすると、必ず24時間(1日)未満の端数が出てくるためです。
また、月齢は月の満ち欠けとほぼ連動していますが、月の軌道 は太陽の影響を受けて周期約8.85年で回転する楕円運動なので、月は地球に近いときには速く、遠いときには遅く動いています。従って、満ち欠けの速度は一定ではなく、たとえば満月(望)の月齢は、15夜の15ではなく13.8から15.8の間で動いています。
忠臣蔵の討ち入りは、旧暦12月14日の未明(15日の午前3時頃)に行われたといわれています。事前に綿密に計画されたこの日時は、この頃がほぼ満月で夜中でも月明かりで敵味方の区別が解るような時を狙ったことと、前夜に新年の歌会があって、相当のお酒が吉良邸警護の武士にも振舞われていたので、討ち入るには好都合だったから、といわれています。

月齢は、誰がどう使うのか?

月の位相をダイヤル上に表示した「月齢表示機能」のついた便利な時計がありますが、誰がどのように使うのでしょうか。
海の潮の干満(潮汐)は、月と太陽が地球に及ぼす力(潮汐力)で決まります。月と太陽に面した海は、その引力を受けて満ち潮になり、その反対側も遠心力で同じ満ち潮になります。更に、月は太陽の約2倍の潮汐力を与えると言われており、海の干満の変化の差の大小は、月と太陽の位置関係、すなわち月の満ち欠け(=黄経差)を見るとほぼわかるのです。
新月(1日)や満月(15日)の頃は海の干満の高低差が最も大きくなり、これを「大潮」と呼びます。これは月・太陽・地球が一直線に並び、月と太陽による潮汐力とが重り合うためです。逆に、上弦(8日)や下弦(23日)の頃には、月・地球・太陽が直角に並ぶので、太陰潮と太陽潮とが打ち消し合うため差の小さい「小潮」となります。
サイクルとしては、新月の大潮→中潮(干満の差が中程度)→上弦の小潮(干満の差が小程度)→上弦の1~2日後の長潮(干満が最も穏やか)→その翌日の若潮(干満の差が出始める)→中潮→満月の大潮、と進み、そこから新月の大潮まで同じサイクルを繰り返すので、1月齢カレンダー(29.5日)の間に、2回潮汐力による干満の高低差を繰り返します。
また、理論的には、月が頭上に位置(正中)する時に高潮(満潮)になり、月が水平線方向に傾く約6時間後に低潮(干潮)になります。
一般的に大潮の時、特にその干潮、満潮時の2時間前後が最も潮が動き、魚が多くつれるといわれています。

こうしたことで、月齢は、昔から海で仕事をする人、海沿いに住む人などに多く使われてきました。今でも新聞やニュースで潮汐の報告があるのは、このためです。

大きい月と小さい月

国立天文台 暦Wikiより
国立天文台 暦Wikiより

月の公転の楕円運動ですが、月がどこの軌道 で満月になるかによって、地球との距離や月の見かけの大きさが違ってきます。
スーパームーンとは、軌道中で月が地球に最接近した新月または満月の状態をいい、逆に地球と最も離れた一番小さな月と比べると、距離で約5万Km、サイズで14%、明るさでは30%もの違いになります。

月の裏側が見えないのはなぜ?

月を観察すると、いつも同じ面しか見えないのはなぜでしょう?
これは、月が地球を1周する間に1回自転しているからです。つまり、月の公転周期と自転周期がまったく同じなのです。
たとえば、45度公転したときに、45度自転しているので、いつも地球に対して正面を向いているのです。どうして、こんなことが起きているかというと、月の重心が中心に対してやや表側に偏心しているために、公転する際に働く地球と月との引力によって、重心のある方がいつも地球の方向を向くという、起き上がりこぼしと同じような原理が月に働いているのです。

月の観測

月には、平らで黒っぽく観える「海」と、クレーターが多く明るく観える「高地」があります。昔から、表側に面した暗い「海」の地形の模様をどう捉えるかが、国・地域によって様々に異なっています。日本では杵を持って餅をつくうさぎ、ヨーロッパではカニ、アラブでは吠えるラインなど、それぞれお国柄が表れていて面白いです。
「海」は月全体の表面の17%を占めていますが、表側だけで約30%もあり、裏側にはわずか2%しかないことがわかっています。
日本の月周回衛星「かぐや」が、月の裏側も含めた様々な月面地域データを取得しています。
これを解析することで、月の組成、表面と裏面で異なる地下構造や形成の歴史が徐々に明らかになってきています。
将来的には、どうして月や地球が出来たのかなどの、多くの謎の解明がなされるかも知れません。

参考文献
  • 国立天文台 暦Wiki
  • 中学受験理科の玉手箱HP