1999年、セイコーは世界で初めてゼンマイで駆動、発電して、クオーツで制御するウオッチ「スプリングドライブ」を発売しました。
1982年に開発がスタートしてから約20年の歳月をかけて商品化された、セイコー独自のスプリングドライブは、機械式とクオーツを融合した第3のエンジンと呼ばれる究極の時計です。

1.スプリングドライブの仕組み

スプリングドライブ機構のブロック図
スプリングドライブ機構のブロック図

①スプリングドライブは、機械式時計と同様に巻き上げられたゼンマイがほどける力で時計を動かします。
②このゼンマイの力のごく一部を磁石を使ったローターに伝え、ローターが回転することにより磁束の変化を生じさせ、電気を発生させます。
③生み出された電気はICを駆動し、水晶振動子を発振させます。水晶振動子は1秒間に32,768回振動(32,768Hz)します。
④水晶振動子の振動を分周回路と呼ばれる回路によって、1秒間に8回の信号(8Hz)に変換し、8Hzの周波数で一定の基準信号を出します。
⑤ICは水晶の基準信号とローターの回転数を比較しながら、ローターに磁力でブレーキをかけたり外したりして、基準信号の8Hzに合うようにローターの回転数を一定に保ちます。
⑥この結果、ゼンマイ→ローター→歯車→針の順に制御された動きを伝え、正確に時を刻むことができます。

2.スプリングドライブの特徴

・エネルギー源がぜんまいであるため、1次電池や2次電池等の大きな電気エネルギーを蓄積する部品がありません。また、クオーツ時計のようなステップモーターもありません。

・ゼンマイ駆動の時計でありながら時間基準は水晶振動子であるため、月差±15秒以内とクオーツウオッチと同等の高い時間精度を実現しています。

・秒針の運針は時の流れを感じることができるスイープ運針です。(スイープ運針:クオーツ時計のように一秒ずつのステップ運針や機械式時計のように細かく刻むビート運針ではなく、流れる運針を指します)

・運針はモーターではなく、ぜんまいの力で行うため、長くて太いしっかりした針を用いることが出来ます。


・電池切れの心配があるクオーツとは違い、機械式時計同様に長い年月を経ても時計を使いたい時にいつでも取り出して使えます。

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