セイコーのアナログ式時計のカタログやパンフレットを見ると、そこに掲載されている時計はすべて「10時8分42秒」を指しています。ご存知ですか?
他社の例を調べてみると10時6分37秒、10時7分37秒、10時8分36秒、10時9分35秒など、それぞれで統一されているようです。
セイコーは1964年以降、それまでの「10時10分30秒」から「10時8分42秒」を採用しています。きっかけは当時の宣伝部担当者が、アメリカの広告表現である“シズル(sizzle)感”に感化されたことでした。シズル感とは、食べ物の広告でいえば「おいしそうな感じ」「瑞々しさ」といった意味があります。宣伝部担当者は、見ているだけでよだれがでるビーフステーキの広告を見て、「時計の広告も見ているだけで動きを感じる表現はないか?」と、検討を重ね、躍動感のある「10時8分42秒」に決めたといわれています。
「10時8分42秒」の配置には躍動感に加えて、時針・分針・秒針の3本が(1)重ならない、(2)美しく、引き締まって見える、(3)12時下のブランド名が隠れない、という利点もあることから、セイコーは現在でもこのルールを踏襲しています。