「おやつ」といえば、午後3時頃に食べる軽食。でもなぜ「お八つ」なのでしょうか?この語源は江戸時代の時間制度である「不定時法」に関係があります。

「不定時法」には2つの表現があります。
ひとつが「子(ね)の刻」や「卯(う)の刻」のように十二支で時刻を表現する方法。もうひとつが九から四の数字で時刻を表現する方法です。時代劇の登場人物が、日の出前の空が明るくなり始めた頃を「明け六つ」と言ったりしますね。それはこの「不定時法」を使っているのです。

当時の人々は午後2時頃から4時頃に空腹を凌ぐために間食を取る習慣がありました。「不定時法」でこの時間を表現すると、「未(ひつじ)の刻」であり、「昼八つ(ひるやつ)」となるため、「昼八つ(ひるやつ)」が「おやつ」と呼ばれるようになりました。

では「おやつ」の習慣はなぜ生まれたのでしょう?実は江戸時代の中期頃までは、人々の食習慣は朝・夕の1日2食でした。そのため、朝食を食べて6~7時間ほど経った「おやつ」の頃には、お腹が空いたのです。夕食までのあと一息、仕事や勉強をがんばるためにも、昼食の代わりの間食として「おやつ」が大切なパワー補給でした。