江戸から明治になって、急激に西洋化した当時の世の中をあてこすった浮世絵をご紹介しましょう。
『因循開化流行撃剣会』。作者は、昇斉一景(昇斉戯墨)、版元は萬孫。明治初期に描かれた3枚続きの錦絵です。
日本で古くから利用されてきた[和もの]と、西洋から新しく入ってきた<舶来もの>が、擬人化されて、剣術やなぎなた等で試合をして、どちらが流行しているのかを競い合う内容です。
右上の成田不動尊の近くでは和時計[日本とけい]が西洋からきた最新の八角時計<西洋とけい>の勢いに倒されている様子が描かれています。
その他に相対して描かれているものは、[こたつ] と <すとうぶ(ストーブ)>、[こまげた]と <くつ>、[かぶと]と <シャッポ>、[うし(牛)]と <しゃも(軍鶏)>、[ちりめん(縮緬)]と <びろうど(ビロード)>などがあります。
残念ながら、[和もの]が全滅ですが、当時の世相がわかって面白いですね。